エディターコラム
髪のための朝ごはん

朝は忙しくて、コーヒーだけ、パンだけで済ませていませんか。髪をつくる材料は、毎日の食事から届きます。健康食品と自然食の仕事をしてきた目線から、無理なく続けられる「髪のための朝ごはん」の組み立て方と、静岡らしい一品をご紹介します。
こんにちは。サロニー編集部の村上ゆきです。金曜日は、食べるもの、香り、暮らし方から、髪や肌を内側から整えるヒントをお届けしています。
前回は、秋の抜け毛と夏の疲れの話をしました。たくさんの方に読んでいただき、「では、何を食べればいいの?」という声もいただきました。
そこで今回は、一日のはじまりの食事、朝ごはんの話です。
朝ごはんを抜くと、何が起きるのか
自然食の仕事をしていたころ、お客さまとお話しすると、朝ごはんを食べない、あるいはコーヒーだけという方がとても多いことに驚きました。忙しい朝に、ゆっくり食卓につくのは、たしかに大変です。
ただ、前回もお伝えしたように、髪の主な成分はケラチンというたんぱく質です。そして体は、とった栄養を、命に関わるところから優先して使います。髪は、どうしても後回しになりがちです。
夜ごはんから次のお昼まで、何も食べない時間が長く続くと、体はそのあいだ、手持ちの材料でやりくりすることになります。髪にまで栄養を回してもらうには、まず「足りている」状態をつくることが大切だと、私は考えています。
朝ごはんは、そのいちばん手軽な入り口です。
髪のために意識したい、三つの栄養
難しい栄養学の話をするつもりはありません。朝ごはんで意識したいのは、次の三つです。
ひとつ目は、たんぱく質です。卵、納豆や豆腐などの大豆製品、魚、ヨーグルトや牛乳などに多く含まれています。髪の材料そのものですから、まずはここから。
ふたつ目は、亜鉛です。たんぱく質が体の中で使われるときに、手助けをするミネラルのひとつといわれています。牡蠣が有名ですが、朝ごはんなら、卵や納豆、しらす、ごまなどからも少しずつとることができます。
三つ目は、ビタミン類です。とくにビタミンB群は、体がエネルギーをつくったり、たんぱく質を使ったりするのを助けるといわれています。卵や納豆、玄米や胚芽米、豚肉などに含まれます。
こうして並べてみると、卵と納豆は、髪のための朝ごはんの心強い味方だと分かります。どちらも手に入りやすく、調理もほとんどいりません。

和の朝ごはんは、よくできている
旅館の朝ごはんを思い浮かべてみてください。ご飯、みそ汁、焼き魚、卵焼き、納豆、のり、青菜のおひたし。
自然食の世界に入ってから、私はこの「一汁三菜」の組み立てが、とてもよくできていると感じるようになりました。主食でエネルギーをとり、魚や卵、大豆でたんぱく質をとり、野菜や海藻で、ビタミンやミネラルを少しずつ足す。特別なものを食べなくても、自然と栄養の幅が広がります。
もちろん、毎朝これだけそろえるのは現実的ではありません。私も平日は、もっとずっと簡単です。
大事なのは、「主食だけ」で終わらせず、たんぱく質のおかずを一品足すこと。それだけでも、朝ごはんの中身はぐっと変わります。
忙しい朝の、私の定番
ここからは、私が実際によく作っている朝ごはんをご紹介します。どれも5分あれば用意できるものです。
ひとつ目は、納豆ご飯に、卵黄とすりごまをのせたもの。納豆と卵で、たんぱく質がしっかりとれます。ごまは、すり鉢でするのが理想ですが、市販のすりごまで十分です。
ふたつ目は、具だくさんのみそ汁。前の晩に、豆腐、わかめ、青菜、きのこなど、冷蔵庫にあるものを多めに入れて作っておきます。朝は温めるだけ。みそ汁ひと椀で、大豆のたんぱく質と、海藻や野菜をまとめてとることができます。
三つ目は、パンの日のための、ゆで卵とヨーグルト。パン派の方も、卵やヨーグルト、チーズを一品足すだけで、ずいぶん違います。ゆで卵は、週の初めにまとめて作っておくと便利です。
静岡の朝ごはんに、しらすと緑茶を
静岡に住んでいると、朝ごはんにぴったりの食材が身近にあることに気づきます。
ひとつは、しらすです。駿河湾のしらすは、静岡の朝の食卓ではおなじみですよね。小さな魚を丸ごと食べるので、たんぱく質に加えて、カルシウムなどのミネラルもとることができます。ご飯にのせても、卵焼きに混ぜても、大根おろしと合わせてもおいしい。「ご飯にしらすをひとつかみ」は、静岡ならではの、いちばん手軽な一品だと思います。
もうひとつは、緑茶です。朝の一杯を、コーヒーから緑茶に替える日があってもいいかもしれません。緑茶の香りは、気持ちをすっと落ち着かせてくれます。精油のインストラクターとして、香りが一日の始まりの気分を左右することは、いつも実感しています。
ただ、緑茶やコーヒーに含まれるカフェインは、とりすぎると眠りに影響することもあります。何杯も続けて飲むより、朝ごはんと一緒にゆっくり一杯、くらいがちょうどよいと思います。

朝ごはんで、気をつけたいこと
一方で、朝ごはんで少し気をつけたいこともあります。
ひとつは、甘いものだけで済ませないことです。菓子パンや甘い飲み物だけの朝ごはんは、手軽でおいしいのですが、たんぱく質が少なくなりがちです。食べるなら、牛乳やヨーグルト、ゆで卵を一緒に、と考えてみてください。
もうひとつは、冷たいものばかりにしないことです。前回もお伝えしたように、体が冷えると、頭皮のすみずみまで血液が届きにくくなるともいわれています。秋から冬にかけては、みそ汁やスープ、温かいお茶など、温かいものを一品入れるのがおすすめです。
それから、ダイエット中の方へ。朝ごはんを抜いて量を減らすよりも、朝はしっかり、夜は軽めにと、食べる時間の配分を変えるほうが、髪や肌のためにはやさしいと私は考えています。極端に食事を減らすと、髪の材料も足りなくなってしまいます。
食べる量より、続けることを大切に
健康食品の会社にいたころ、「これを飲めば大丈夫」という考え方に頼りすぎてしまう方を、たくさん見てきました。
サプリメントや健康食品が役に立つ場面もあります。でも、髪は一日では変わりません。髪が伸びるのには時間がかかりますし、今日食べたものが、すぐに目に見える形で表れるわけでもありません。
だからこそ、無理なく毎日続けられることが、いちばん大切です。完璧な朝ごはんを週に一度つくるより、卵ひとつ、みそ汁一杯を、毎朝続けるほうが、ずっと意味があると私は考えています。
また、髪の悩みには、食事以外のさまざまな理由が関わっていることもあります。抜け毛が急に増えた、頭皮に赤みやかゆみがある、という場合は、食事だけで何とかしようとせず、皮膚科などの専門の医療機関に相談してください。
朝の香りで、食卓につく習慣を
最後に、香りの話を少しだけ。
朝ごはんを食べる気持ちになれない、という方は、まず「食卓につくきっかけ」をつくるのもひとつの方法です。
私は、朝起きたら、まず台所の窓を開けて、お湯を沸かします。湯気と一緒に、緑茶やみそ汁の香りが広がると、不思議とおなかがすいてくるものです。柑橘系の精油を一滴、ティッシュに垂らして食卓のそばに置いておくのも、すっきりとした朝の気分づくりにおすすめです。精油は直接肌につけたり、口に入れたりしないように気をつけてください。
体の内側から整えることと、美容室で外側から整えてもらうことは、どちらも大切です。髪のことで気になることがあれば、ヘッドスパなどで頭皮の状態を見てもらうのもよいと思います。自分では見えない頭皮のことを、プロの目で教えてもらえます。
明日の朝は、いつもの朝ごはんに、何か一品足してみませんか。
