エディターコラム
お茶どころ静岡の「緑茶」と、肌と髪
静岡に暮らしていると、毎日あたりまえのように手に取る緑茶。じつは、きれいを支える成分がいくつも含まれていると言われています。自然食の仕事をしてきた目線から、緑茶との上手な付き合い方と、飲みすぎに気をつけたいところをお話しします。
こんにちは。サロニー編集部の村上ゆきです。金曜日は、食べるもの、香り、暮らし方から、髪や肌を内側から整えるヒントをお届けしています。
前回の「髪のための朝ごはん」の最後に、静岡の朝ごはんには緑茶を、というお話を少しだけしました。読んでくださった方から「緑茶って、そんなにいいの?」という声をいただいたので、今回は緑茶だけで一本書いてみることにしました。
静岡で生まれ育った方なら、家に急須があって、食事のたびにお茶が出てくるのは、ごくふつうの景色だと思います。私の実家もそうでした。お客さまが来たら、まずお茶。ごはんのあとも、お茶。あまりに身近すぎて、かえってその良さを考える機会が少ないのかもしれません。
緑茶に含まれている、主な成分
緑茶には、きれいを考えるうえで気になる成分がいくつか含まれています。代表的なものを挙げてみます。
ひとつ目は、カテキンです。緑茶の渋みのもとになっている成分で、ポリフェノールの一種です。体のさびつき(酸化)から守る働きがあると言われていて、健康食品の世界でもよく名前が出てくる成分です。
ふたつ目は、ビタミンCです。肌のハリを支えるコラーゲンをつくるときに必要な栄養素として知られています。煎茶の茶葉には、ビタミンCが比較的多く含まれていると言われています。
三つ目は、テアニンです。お茶のうま味や甘みのもとになっているアミノ酸で、ほっと気持ちをゆるめる働きが注目されています。玉露や上等な煎茶に多く含まれていると言われます。
そして、カフェインです。頭をすっきりさせてくれる一方で、とりすぎや、とる時間によっては眠りに影響することもあります。これは後でくわしくお話しします。
ここで大事なことをひとつ。緑茶は薬ではありません。「飲めば肌がきれいになる」「髪が生える」というものではなく、毎日の食事や睡眠とあわせて、きれいを支える一杯、と考えてもらえたらと思います。

肌と髪に、緑茶がうれしい理由
では、肌と髪にとって、緑茶のどんなところがうれしいのでしょうか。
肌については、やはりビタミンCとカテキンです。紫外線やストレスを受けた肌は、内側からも支えてあげたいもの。ビタミンCは体の中にためておけない栄養素なので、一度にたくさんではなく、こまめにとるのが向いていると言われています。食事のたびに一杯の緑茶、という静岡の習慣は、その意味でよくできていると感じます。
髪については、直接「髪にいい」と言い切れる話はあまりありません。ただ、私が自然食の仕事をしてきて感じるのは、髪は体の調子をそのまま映すということです。眠れていない、食事がかたよっている、気持ちが張りつめている。そういうときに、髪のぱさつきや抜け毛が気になる方が多いのです。
その意味で、緑茶のテアニンがもたらす「ほっとする時間」は、遠回りのようでいて、髪にとっても大切な時間だと私は思っています。
淹れ方で、味も成分も変わる
緑茶のおもしろいところは、淹れ方ひとつで、味わいも、出てくる成分のバランスも変わることです。
熱めのお湯(90度前後)で淹れると、カテキンやカフェインがよく出て、渋みのあるすっきりした味になります。一方、少し冷ましたお湯(70度前後)でゆっくり淹れると、渋みがおさえられ、テアニンのうま味や甘みを感じやすくなります。
私は、朝は熱めのお湯でしゃきっと、午後は少し冷ましたお湯でまろやかに、と使い分けています。同じ茶葉でも、気分に合わせて味が変わるのが楽しいところです。
最近は、水出しの緑茶も人気です。冷たい水でじっくり時間をかけて出すと、苦みや渋みが少なく、カフェインも出にくいと言われています。夜に飲むなら、水出しを選ぶのもひとつの方法です。

静岡の、お茶のある暮らし
静岡県は、全国でも指折りのお茶どころです。牧之原や川根、本山など、県内のあちこちに名前の知られた産地があり、春の新茶の季節には、茶畑の緑がいっそう鮮やかになります。
私が子どものころは、学校から帰ると祖母が急須でお茶を淹れてくれて、おやつと一緒に飲むのが日課でした。いま思えば、あの時間は、体のためというより、気持ちを落ち着かせるための時間だったのかもしれません。
ペットボトルのお茶も手軽で便利ですが、ときどきは急須で淹れてみてください。お湯をわかして、茶葉を入れて、少し待つ。その数分が、忙しい毎日の中で、自分をいたわる小さな区切りになります。
私の、一日のお茶の流れ
参考までに、私のふだんの一日のお茶をご紹介します。
朝は、朝ごはんと一緒に熱めの煎茶を一杯。前回お話しした、ごはんとみそ汁、卵の朝ごはんに、緑茶はよく合います。ただ、鉄分のことを考えて、ごくごく飲むのは食後に少し時間をおいてからにしています。
昼から夕方にかけては、仕事の合間に少しぬるめのお湯で淹れた煎茶を。甘みのある味にほっとして、肩の力が抜けるのを感じます。午後三時をすぎたら、カフェインの多いお茶はここでおしまいにしています。
夜は、ほうじ茶か、カフェインの入っていない麦茶に切り替えます。寝る前には、ラベンダーなど好きな精油を一滴ハンカチに落として、香りと一緒に一日を終えるのが習慣です。
大切なのは、たくさん飲むことより、一日の中に「お茶の時間」を何度か置くこと。私はそう考えています。
もうひとつ、静岡らしい楽しみ方として、淹れたあとの茶殻を捨てずに使う方法もあります。かつお節としょうゆを少し合わせて、ごはんのおともにする家庭もあります。茶殻にも、食物繊維などが残っていると言われています。食べ切れる分だけ、気軽に試してみてください。
飲みすぎと、飲む時間に気をつけて
体にうれしい緑茶ですが、気をつけたいこともあります。
まず、カフェインです。緑茶にもカフェインが含まれているので、夕方以降にたくさん飲むと、眠りが浅くなることがあります。髪や肌のためには、何より眠りが大切です。夜は、ほうじ茶や麦茶、水出しのお茶などに切り替えるのもよいと思います。
次に、鉄分との関係です。緑茶のカテキンは、食事に含まれる鉄分の吸収をさまたげることがあると言われています。貧血ぎみの方や、鉄分を意識してとりたい方は、食事中より、食後少し時間をあけてから飲むようにするとよいでしょう。
それから、妊娠中や授乳中の方、お薬を飲んでいる方は、カフェインのとり方について、かかりつけのお医者さんに相談してください。
一杯のお茶と、ヘッドスパの時間
緑茶のお話をしてきましたが、私がいちばん伝えたいのは、「ほっとする時間」をきちんととることです。
体の内側からは、食事とお茶で。外側からは、ヘッドスパやフェイシャルなど、プロの手で。両方からいたわってあげると、気持ちも体もずいぶん軽くなります。
静岡には、施術のあとに温かいお茶を出してくれるサロンもあります。施術でほぐれた体に、一杯のお茶がしみわたる。そんな時間を、ぜひ味わってみてください。
